COLUMN

住宅コラム

家事室とは、洗濯やアイロンかけ、住まいの補修や日々の事務的な作業など、家事作業を効率的に行うための空間です。

さまざまな用途に用いることから、ユーティリティ(スペース、ルーム)とも呼ばれています。

専用のひとつの部屋が基本ですが、部屋の一角に家事コーナーとして設けるケースもあります。

モデルハウスや分譲マンションなどでも提案されるプランもあり、忙しく家事を行う方々にとっては魅力的なスペースのひとつでしょう。

家事室・ユーティリティで行う作業

家事室(ユーティリティ)で行う作業を整理してみると、情報管理的な事務作業と衣食住に関わる実作業に分けることができます。

 

情報管理的な事務作業

家族や住まい、家計簿などの暮らしの記録、あるいは学校や近隣、会社関係などの書類の整理や保管などです。

パソコンなどでの作業なども増えてきています。

最近では、テレワーク・リモートワークのスペースとしても有効活用するケースが増えてきております。

 

衣食住に関わる実作業

衣食住の作業としては、洗濯やアイロンかけ、つくろいものなどです。

食品の保存(漬物や飲料など)、建物や家具などの補修やメンテナンスなどが含まれます。

他空間とのつながり、動線を考慮してプランニングを

家事室として確保したい広さは、使用する目的や間取りによって様々です。

専用のスペースであれば2、3畳程度の場合もありますし、洗面脱衣室と洗濯・室内物干し場などを兼ねる場合は広めになることになります。

また、家事コーナーとして設ける場合などであれば、狭いスペースでもプランニングは可能です。

いずれにしても、新しい家での暮らし方をイメージして、プラン全体で検討することが大切でしょう。

同時に、動線を考慮することも重要です。

特に家事動線は、日々の使い勝手に大きく影響するので、わが家の家事の進め方を十分に検討しましょう。

料理をしながら洗濯をするのか、子供の様子を見ながら片付けモノをするのか、洗濯物は庭に干すのかベランダなのか、など、他の空間とのつながりをイメージしながらプランニングするといいでしょう。

リビングやダイニング、玄関や駐車スペースなどとの行き来も配慮しておくこともポイントです。

また、家事室と他の空間との開口部は、必ずしも扉が必要ではないかもしれませんが、採用する場合は開き戸よりも引き戸タイプの方が開け放しておくことができるので、使い勝手がいいものです。

洗濯や物干し場として利用するなど、湿気がこもりがちな場合などでも、通風を確保することが可能でしょう。

専用の空間が難しい場合は、機能を分散させて

一般的な日本の住まいの場合、事務作業と実作業すべてを行うことができる家事室を、専用のひとつの空間としてプランニングするのは現実的ではないかもしれません。

しかし、家事室の機能を住まいの中に振り分け、適する空間に、作業スペースや収納を組み込むことによって、家事がしやすく、使い勝手を高めることは可能です。

たとえば、「家計簿やネットショッピングなどは、ダイニングテーブルで」というのであれば、近くにファイルやパソコン等の保管スペースを確保するとか「アイロンはリビングでかける」場合は、リビング内に作業しやすいカウンターやアイロンなどの収納を用意するなど。

漠然と「家事室や家事コーナーがあると便利そう」とプランニングするのではなく、どんな家事を、どこで、誰が行うのか、を検討したうえで、作業する内容に適した場所に家事のしやすい機能をプランニングすることが大切です。

洗濯作業のしやすさを重視して検討したい

家事室の機能の中でも重視したいのは、一連の洗濯作業がスムーズに行えることではないでしょうか。

洗濯や物干し、アイロンかけなどがひとつの部屋で行うことができる洗濯室(ランドリールーム)は理想ですが、現実的には、浴室に隣接する洗面脱衣室に洗濯機を設置し、干したり畳む作業は別の部屋で、というケースが多いものです。

たとえば、洗面脱衣室を少し広めに確保できるのであれば、洗剤やハンガーなどの収納はもちろん、洗濯物を畳むことができるカウンターなど設けることで、効率的に作業をすることも可能でしょう。

設備メーカーの洗面化粧台には、物干しバーを含め、洗濯作業をしやすくする、さまざまなユニットやアイテムが用意されているタイプもみられるので、検討してみてもいいでしょう。

注目されている室内物干しスペース

共働きや花粉症などの理由から、外に洗濯物を干すことができないケースも多く、注目されているのが、室内物干しスペースです。

使い勝手のよい室内物干し場があることで、家事の効率も高まるものです。

専用の洗濯室があれば室内物干しも設置することができますが、難しい場合は、洗面脱衣室や廊下、ロフト、寝室などを利用しましょう。

物干しバーを掛けられるようなフックを設置したり、天井に組み込まれるタイプの商品を利用してもいいでしょう。

プランニングの際には、洗濯機置き場や畳む場所との動線、採光や通風などに配慮することも大切なポイントです。

キッチンに続くパントリー(食品庫)を利用しても

キッチンに続くパントリー(食品庫)に、家事室の機能をプラスするプランも考えられます。

レシピを整理したり、パソコンで検索するなどの作業ができるカウンター、料理本や資料を保存するラックなどを設けておくと便利でしょう。

家庭菜園や本格的な調理を楽しむのであれば、泥野菜や魚をさばくことのできる小型のシンク、貯蔵棚などを設置すると使い勝手もいいものです。

クロゼットや廊下など、裏方スペースに多目的のカウンターを

ファミリークロゼットや廊下など、住まいの裏方スペースに多目的なカウンターや収納スペースを設けるプランも考えられます。

洗濯物を畳んだり季節ごとの衣類の入れ替えなどの管理もしやすいでしょう。

カウンターは窓辺に設けるなど、閉鎖的にならないような工夫もしておきたいものです。

また、半屋外に設置されたスペースを「ユーティリティテラス」と呼ぶことがあります。

ゴミの一時置き場や庭まわり用品の収納、洗濯物干しなどに適しているでしょう。

サンルームのような形状で、サービスヤードの機能を組み合わせたエクステリア商品もみられます。

どのような家事室をプランニングするとしても、目的を明確にし、それに適した空間を確保することが基本です。

「あったら便利そう」とやみくもに設けても、結局使わなかった、というケースもみられます。

家事室・ユーティリティだけでなく、間取りを考える際には、家族構成やライフスタイルに合わせたプランニングを検討することが大切です。

それでは、また!

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