COLUMN

住宅コラム

擁壁って何?

「擁壁」とは、崖などの崩壊を防ぐための「土留め」として、コンクリートブロックや石などを使った「壁状の構造物」のことです。その上に建物が建てられる場合、もしくは、隣り合った敷地に高低差がある場合には、崖や盛土の側面が崩れ落ちるのを防ぐために壁が必要になります。それが「擁壁」です。

もう少し詳しく説明すると、土や粉粒体を積み上げたときに崩れない斜面の最大角度のことを土壌の「安息角(あんそくかく)」というのですが、その「安息角」を超える大きな高低差を地面に設けたいときに「擁壁」が必要になります。
もし擁壁がなかったら、そのまま自然の状態にしておくと横からの圧力によって斜面が崩壊してしまうこともあります。
つまり、「擁壁」は建物を守るという大切な役割を担っているのです。

擁壁にまつわる、よくあるトラブル

ところが、どんなに頑丈につくられた擁壁でも、数十年という時を経て、次第に劣化が進んでいきます。古い擁壁がある物件を検討するときには、とくに注意してその状態を確認する必要があるといえそうです。

もちろん、新しい擁壁であれば安心ということではなく、亀裂やひび割れが生じていることもあります。
このとき擁壁がやっかいなのは、補修したとしても、ほとんどの場合、根本的な解決にはならないということです。高さや面積にもよりますが、擁壁の工事費用は数百万円から数千万円になる場合もあります。土地や物件を購入する場合には不動産売買契約締結後、あるいは引渡し後に擁壁のつくり直しが必要となってしまった……ということのないように、擁壁も含めてしっかりと物件確認をする必要があるのです。

隣人との関係にも注意

隣り合った敷地に高低差があり、その間に擁壁をつくる際には、上側の敷地所有者の責任のもと、上側の敷地内に擁壁が設置されるケースが多く、この場合は、上側の敷地所有者が費用負担をすることになります。
ただし、上側の敷地所有者が擁壁をつくらなければならなといった法律や決まりはなく、あくまでそうするケースが多い、ということです。

下側の敷地において、地盤を削るなどなんらかの事情で高低差が生じた場合には、下側の敷地内に擁壁を設置することから、下側の敷地所有者の費用負担となります。

また、隣地との間の古くなった擁壁を、不動産業者の負担でつくり直すケースもあります。このとき、費用負担の代わりに敷地の一部を提供し、境界線上にまたがって擁壁をつくる条件が提示されることがあります。

さらに、擁壁の基礎部分が土地の境界線を越えている場合などもあり、その場合は上側と下側の敷地所有者の協議のもと、擁壁をつくる、または修繕をする費用を折半することも考えられます。しかし、当初は問題がなくても、年月を経て所有者が変わるうちに、擁壁をつくった際の経緯がわからなくなるケースもあり、修繕が必要になった場合などに、どちらが費用を負担するのかなど、トラブルに発展することが少なくありません。 このように敷地の境界線につくられることが多い擁壁は、その分、隣人との トラブルになりやすいポイントでもあるのです。

擁壁の種類

擁壁の設置に関する技術的基準は、宅地造成等規制法施行令第6条できめられています。
「鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は間知石(けんちいし)練積み造(ねりづみ)その他の練積み造のものとすること」と定められています。
また、これとは別に自治体の条例などがある場合もあります。

では、簡単に擁壁の種類をご紹介します。

家づくり基礎知識 擁壁

現場打ちコンクリートと言って、擁壁の高さに応じて鉄筋を入れ補強を施し抵抗力を高め背面には栗石や砂利などで裏込めを施し 水抜きパイプを設置したり、擁壁に用いられるコンクリートブロックは型枠状のブロックで中の空洞に鉄筋を配しコンクリートやモルタルで充填し耐力壁として用いる型枠コンクリートブロック、内部に鉄筋を施したL型のコンクリートブロックで比較的施工が容易で間知石(コンクリート)の2分の1程度の費用で 設置できるコストに優れたオススメの構造材が土留用L型コンクリートブロックなどがあります。

石垣

家づくり基礎知識 擁壁

天然石を積み上げていく擁壁の一種です。低い擁壁や土留に使われる場合は自重で積まれることが多いですが、高く積み上げる場合はコンクリートやモルタルを用いて施工をされます。天然石以外にも樹脂で固めた『レジンタイル』や花崗岩などを粉砕し顔料やセメントで固め表面を研磨した『テラゾー』など 天然石風に仕上げた人造石などもあります。

間知石

家づくり基礎知識 擁壁

花崗岩や安山岩などの硬質の石を方形に仕立てて地盤に積み上げていく重力式の擁壁のことです。
最近は石材を使う例が少なくコンクリート製が大半となっております。

まとめ

このように擁壁によって、建物の印象も変わってきます。
まちを歩くときに、擁壁にも目を向けるようにしてみると、いつも見ているまちの景色も違って見えてきます。
いずれにしても擁壁の状態確認や施工は、専門的な知識と経験、土壌に適した工法を知っている専門家に依頼する必要があります。
隣地との間に土地の高低差がある土地の購入を検討する際や、擁壁のある物件を検討する際には、早めにご相談下さい。

それでは、また!

PAGE TOP