COLUMN

住宅コラム

住宅ローンを選ぶ際に、多くの方が迷うのが、「固定金利」と「変動金利」のどちらを選択するか、という点ではないでしょうか。

住宅金融支援機構がまとめた調査によると、2017年度ごろから、住宅ローンの変動金利を選ぶ人の割合が増加しているそうです。

最新の調査結果では全体の過半数以上が変動金利を選択しているという結果です。

このように変動金利の人気が高まっている背景には、変動金利の設定金利が、固定金利と比較すると低いこと、さらに、変動金利の金利水準を決める「短期プライムレート」が、過去20年にわたって1%台と低い数値で推移していることなどが挙げられます。

低金利で住宅購入のための資金を借り入れでき、過去の実績から考えると、金利の大きな上昇が予測しにくいということもあり、今改めて変動金利が大きな注目を集めているのです。

ただし、住宅ローンの変動金利には注意点もあります。

実際に「変動」と名がついているように、変動金利は半年に一回、金利の見直しが行われるのです。

この時点で、基準となる短期プライムレートが上昇していると、返済額の増加や返済期間の延長などが起こり、家計がダメージを受けることにもなりかねません。

変動金利を選ぶ場合には、このような金利変動のリスクをどのように回避するか、ということが、大変重要になってきます。

そこで今回では、住宅ローンの変動金利のリスクを回避する方法に着目し、それぞれの方法についてお伝えします。

金利の低い変動金利を選びたいが、金利上昇のリスクもしっかり回避したいという方は、必見です。

住宅ローンの変動金利は上昇するか?

変動金利と金利上昇の考え方

変動金利を選ぶ際、もっとも気になるのが、今後の変動金利の値動きです。

この変動金利が連動する「短期プライムレート」とは、金融機関が優良顧客向けに貸し出す一年以内の最優遇金利(プライムレート)のことです。

日銀が決定する「政策金利」の影響を受けます。

つまり、短期プライムレートは、実質的には日銀の管理下にあり、国の金融政策を反映するものと言えるでしょう。

この短期プライムレートの数値は、1995年9月以降、1%台の低水準で推移しており、今後も日銀の金融政策に大幅な変更がない限り、

急激な上昇は起こりにくいと考えられています。

ただし、金利動向の正確な予測は、経済のプロであっても、ほぼ不可能です。

今後、物価の上昇などを理由に政策金利の引き上げが起これば、変動金利が上昇する事態も十分に考えられます。

そのため、変動金利を選ぶ際には、金利が上昇した場合のシナリオをある程度想定しておきましょう。

たとえば、金利が1%上昇した場合に住宅ローンの総返済額がいくらアップするのか、それは家計をどの程度圧迫するのかあるいは、2%や、3%の上昇ではどうか、などをシミュレーションし、家計の状況を考えた時、何パーセントまでの金利上昇に耐えられるかを事前に調べておくと良いでしょう。

ちなみに、変動金利の金利上昇時の返済額については、各金融機関の住宅ローンシミュレーションなどを活用して簡単に調べることができます。

金利の上昇に耐えられるようであれば変動金利を積極的に検討しよう

変動金利の金利上昇シナリオをシミュレーションする場合、どの程度の金利上昇を想定すれば良いか迷う方も多いでしょう。

短期プライムレートの直近の最高値は、1990年から91年にかけての6~8%台で現在の経済状況(物価など)を考慮すると、ここまでの急激な上昇は起こりにくいと言われています。

つまり、シミュレーションする場合、仮に最大で8%の金利上昇でも家計が返済に耐えられるようであれば、金利の変動を考慮する必要性は、ほぼゼロに近いと言えます。

一定の金利上昇の可能性に耐えられる家計であれば、住宅ローンを選ぶ際に、積極的に変動金利を検討することで、現在の低金利の恩恵を受けることができるでしょう。

すでに住宅ローンを借り入れている場合は?

現在、変動金利で住宅ローンを借り入れている場合、リスク回避の方法は以下の二種類に分かれます。

 

①固定金利に変更する(or借り換える)

多くの金融機関では、変動金利から固定金利へと金利タイプを変更することができます。

金利タイプを変更する場合、その金融機関の固定金利の金利水準、変更にかかる手数料の有無などをチェックすることが大切です。

なお、変動金利から固定金利への変更では、別の金融機関の固定金利に借り換えるのも一つの方法です。

たとえばフラット35は、固定金利でありながら金利の水準は低く、取り扱う金融機関も多いため、金利や諸費用を比較して有利なところを選ぶことができます。

ただし、借り換えの場合、事務手数料などの諸費用が発生する点に注意が必要です。

金利の水準や手数料を比較したうえで、「金利タイプの変更」を選択するのか、他の住宅ローンへの「借り換え」を選ぶのかを決めると良いでしょう。

変動金利から固定金利に変更する場合、月々の返済額や返済期間も変更になるため、変更後の返済計画が家計を圧迫しないレベルかどうかもしっかりと確認しましょう。

 

②一部繰り上げ返済をする

住宅ローンを返済中の方が変動金利のリスクを回避する有効な方法のもう一つは、繰り上げ返済です。

変動金利が上昇をはじめた時点で繰り上げ返済を行えば、住宅ローン残高を減らして返済利息を圧縮することができます。

そのため、変動金利を選択する際は、金利上昇のリスクに備えて、あらかじめ繰り上げ返済用の貯蓄を多めに確保しておくと良いでしょう。

なお、繰り上げ返済では通常、「返済期間の短縮」と「毎月返済額の減額」のどちらかを選ぶことができます。

総返済額の圧縮効果が大きいのは「期間短縮型」のほうですが、毎月の返済額の増加が家計に影響しそうな場合は、「返済額減額型」を選択するのも一つの方法です。

まだ住宅ローンの借り入れを していない場合は?

住宅ローンの借り入れ前で、金利タイプを検討している段階であれば、以下のようなポイントに気を付けてリスク回避を行ってみましょう。

 

①ミックス金利で借り入れる

住宅ローンには、複数の金利タイプを組み合わせる「ミックス金利」という借り入れ方法があります。

たとえば、住宅購入資金の半分を変動金利、もう半分を固定金利で借り入れれば、金利上昇時のリスクを大幅に減らすことができます。

ただし、ミックス金利を選ぶ際は、変動金利のリスクを回避できる一方で「低金利」という変動金利のメリットも制限される点に注意が必要です。

組み合わせる金利タイプは変動金利と長期固定金利(全期間固定金利)がベターです。

5年固定や10年固定といった期間固定型を組み入れると、固定期間の終了後に「変動金利に切り替わる」(もしくは、金利の引き下げ幅が変更される)可能性があるため、変動金利と同様のリスク(=金利変動リスク)を抱えてしまうことになります。

なお、ミックス金利の繰り上げ返済を行う場合は、変動金利部分を優先させると良いでしょう。

 

②一部繰り上げ返済しやすい住宅ローンを選ぶ

お伝えした通り、変動金利のリスク回避の方法として、繰り上げ返済は効果的な方法です。

住宅ローンの借り入れ前であれば、一部繰り上げ返済のしやすさも考慮してみましょう。

現在、メガバンクや地銀も含めたほとんどの金融機関は、インターネットバンキングからの一部繰り上げ返済に対応しています。

ネット上からであれば、繰り上げ返済手数料が無料のところも少なくありません。

ただし、金融機関によっては、「繰り上げ返済の予約申し込みが前日15:00まで」「全額繰り上げ返済については店頭での手続きが必要」など、注意しておきたいポイントもあります。

一方、ネット銀行の繰り上げ返済は、メガバンク等のインターネットバンキングと比較すると、より自由度が高めです。

インターネット上から24時間365日手続き可能なことはもちろん、

一円単位からの返済も可能です。

また、予約の申し込みも前日19:00まで受け付けているところが多く、市中銀行よりも長めです。

さらに全額繰り上げ返済もオンラインでの手続きが可能となっており、

金融機関に出向く必要はありません。

変動金利の金利上昇リスクにいち早く対応できるという意味でも、ネット銀行の繰り上げ返済の利便性はチェックしておきたいポイントです。

変動金利はリスク回避の方法を しっかり把握して賢く活用しよう

住宅ローンでもっとも迷う方が多い「変動金利」と「固定金利」。

現在、固定金利が連動する「長期金利(新発10年国債の利回り)」は、新型コロナの影響から米国国債の金利が乱高下しており不安定な状況です。

一方、変動金利が連動する「短期プライムレート」は、低水準で安定してますが、マイナス金利政策により底値となっており、今後上昇するでしょうが、新型コロナの影響先延ばしになっておりしばらくは低金利が続くでしょう。

この2つの金利の方向性の差が、現在、住宅ローンで変動金利の人気が高まっている理由です。

しかし、変動金利は、固定金利にはない金利上昇というリスクをかかえていることも事実です。

目先の低金利のみで変動金利を選んでしまうと、将来、金利が上昇したときに思わぬダメージを受けることになりかねません。

金利の低い変動金利で、住宅ローンの総返済額を抑えたいと考えている方は、同時にリスク回避についても知っておく必要があります。

万一の金利上昇シナリオを考慮しつつ、固定金利への借り換えや繰り上げ返済などのリスク回避の手段を準備しておくことで、低金利の恩恵を受けることができるはず。

将来の返済に困らないためにも、今回お伝えした変動金利のリスク回避の方法を参考に、住宅ローンを賢く借り入れましょう。

それでは、また!!

PAGE TOP