2025.11.4 Tue
- 家づくりの疑問
換気システムの種類と正しい選び方|快適な家づくりを叶えるポイントを解説

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住まいの空気環境を整える「換気システム」は、家族の健康と快適な暮らしを支える重要な設備です。「窓を開ければ空気の入れ替えはできるのでは?」と思われるかもしれませんが、それだけでは不十分。特に近年は、高気密・高断熱住宅が増えたことで、計画的な換気の必要性が高まっています。
この記事では、換気システムの基本から3つの方式の違い、選び方のポイントまでわかりやすく解説します。これから家を建てる方はぜひ参考にしてください。
家づくりに欠かせない「換気」と「換気システム」

まずは、家づくりに欠かせない換気と、換気システムについて解説します。
なぜ換気が大切なの?
風が通る屋外とは違い、壁や天井で囲まれた屋内は空気が滞りやすく、湿気や二酸化炭素、ホコリなどが溜まっていきます。これらを屋外へ排出し、新しい空気を取り込むのが「換気」です。
換気をすることで、空気中の化学物質やホコリ、カビの胞子など、シックハウス症候群の原因となる物質を外に出し、さらに湿度も適切にコントロールできます。しっかり換気することは家族の健康を守るだけでなく、家を長持ちさせることにもつながるのです。
24時間換気システムは法律で決められている
高気密・高断熱の住まいでは、窓を開ける機会が少なく、空気が滞りやすくなります。その改善策として、2003年の建築基準法改正により「24時間換気システム」の設置が義務化されました。
「24時間換気システム」とは、窓を開けなくても、常に新鮮な空気を入れ替えてくれる仕組みのこと。窓を開けないため花粉やホコリを防ぐ効果もあり、防犯面でも安心です。
換気システムの種類と特徴

24時間換気システムは、空気をどのように給気・排気するかによって「第一種」「第二種」「第三種」の3種類に分けられます。
第一種換気|給気・排気ともに機械
第一種換気は、外の空気をファンで取り入れ、室内の空気を別のファンで外へ出すタイプです。室温を保ちながら換気できる「熱交換型」を採用するケースでは、冷暖房の効率が上がり電気代の節約にもつながります。
室温を保ったまま換気できるため、高気密・高断熱住宅にも最適。ただし、設置費用はやや高く、お手入れなどの費用もかかりやすい点に注意が必要です。
第二種換気|給気:機械/排気:自然
第二種換気は、外から空気を機械で取り入れ、排気は自然に行うタイプ。ホコリや菌の侵入を防ぎやすいメリットの一方で、排気は自然任せになるため湿気がこもりやすく、結露が発生しやすいというデメリットがあります。
そのため、この方式は手術室・無菌室・クリーンルームなどの特殊施設向けであり、戸建住宅で採用されることはほとんどありません。
第三種換気|給気:自然/排気:機械
第三種換気は、排気のみを機械で行い、給気は自然に任せるタイプです。トイレや洗面所などに設置された換気扇が室内の空気を外に引っ張り出す仕組みで、3つの換気方式の中で最も普及しています。
排気にのみ機械を使うため設置費用や毎月の電気代を抑えられるうえ、室内の空気を排出しやすく結露を防げるのがメリットです。一方で、外の空気がそのままの温度で入ってくるため、給気口の近くは夏は暑く、冬は寒くなりやすいというデメリットがあります。
第一種換気と第三種換気の比較|メンテナンス・コスト・快適性の違い

家庭でよく使われるのは、第一種換気と第三種換気の2種類です。ここでは、一般住宅でよく採用される2つの換気システムを、導入コストやメンテナンス、快適性の面から比べてみましょう。
| 項目 | 第一種換気 | 第三種換気 |
| 換気方法 | 給気・排気ともに機械 | 給気:自然/排気:機械 |
| 導入コスト | 高い | 低い |
| ランニングコスト | やや高め | 低い |
| メンテナンス | 定期的なフィルター清掃が必要 | 吸気口の掃除程度 |
| 快適さ | 熱交換式なら温度変化が少なく快適 | 外気温の影響を受けやすい |
| おすすめの住宅 | 高気密・高断熱住宅やZEH住宅 | 一般的な住宅 |
導入コストやランニングコスト、快適性のバランスを考えながら、自分の住宅や暮らし方に合った換気システムを選ぶことが大切です。
冬場の乾燥・結露と換気の関係

冬の住まいでよくある悩みが「乾燥」と「結露」。実は、これらの問題は換気方式によって違いが出ます。
冬に乾燥しやすくなる理由
気温が下がると、空気中の水蒸気が水滴などに変わるため、湿度が下がって乾燥しやすくなります。また、暖房の温風によって空気中の水分が失われることも、室内が乾燥しやすくなる理由の一つです。
空気が乾燥すると、喉や鼻などの粘膜も乾きやすく、ウイルスの繁殖につながり、風邪を引きやすくなります。冬の室内では加湿器を使うなど、湿度を一定に保つ工夫が大切です。
冬に結露が発生しやすい理由
冬は室内と外の温度差が大きくなるため、窓や壁に結露が生じやすい点にも注意。結露は、冷たい窓や壁に触れた空気中の水蒸気が水滴に変わることで発生します。放置すると黒カビや建材の劣化の原因になるため、換気や断熱、除湿などで湿度をコントロールすることが重要です。
冬場の乾燥・結露を防ぐためのポイント
冬の乾燥や結露を防ぐには、以下のような対策が効果的です。
- 室内の湿度を適切に保つ:加湿器を使って湿度を一定に保つことで、喉や鼻の乾燥を防ぎ、ウイルス対策にもつながります。
- 断熱性能を高める:窓や壁の断熱性能を上げることで、温度差による結露の発生を抑えられます。
- 換気方式にこだわる:高気密・高断熱住宅では、熱交換型の第一種換気を使うと、室温や湿度を安定させながら換気できます。
換気システムを選ぶときの3つのポイント

最後に、住宅や暮らしに合った換気システムを選ぶための、3つのポイントをご紹介します。
ポイント1.住宅の性能や地域環境にあわせる
気密・断熱性能が高い家ほど、第一種換気の効果が発揮されやすくなります。また、住む地域がどのような気候かも大切なポイントです。例えば寒暖差が大きい地域や湿度の高い地域では、熱交換型の第一種換気を選ぶことで、年間を通して快適に過ごせます。
ポイント2.メンテナンスのしやすさを考慮する
換気システムは毎日稼働するため、フィルターの掃除や吸気口の清掃など、メンテナンスの手軽さも重要です。掃除が簡単で手間のかからないシステムを選ぶと、長く快適に使い続けられます。
ポイント3.コストと快適さのバランスを考える
第一種は快適ですがコストが高め、第三種は経済的ですが外気の影響を受けやすいなど、それぞれ一長一短。初期費用だけでなく、電気代などのランニングコストを比べながら、長く快適に暮らせるかという視点で換気システムを選ぶことが、後悔しない家づくりにつながります。
空気まで快適な家づくりを、HARMONYで。

2025年4月から新築住宅での省エネ基準適合が義務化され、高気密・高断熱住宅への関心が高まっています。これからの家づくりでは「空気の質」まで考えることが大切です。
HARMONYでは、換気システムはもちろん、気密性や断熱性、省エネ性など住宅性能全般を含めて、最適な家づくりをサポートしています。三重県で快適な住まいをご検討の方は、ぜひショールームへお気軽にご来場ください。
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