COLUMN

住宅コラム

床暖房の魅力を一言でいうと「足元から暖めてくれるその心地よさ」でしょう。

床暖房は、フローリングなどの床仕上げ材の下(もしくは床材の内部)に組み込まれた熱源から暖房を行います。

冬場にエアコンなどで室内を暖房してもなかなか足元やひざ元までは暖まらず、その不快な寒さに悩まされている人は多いはずです。

床暖房は、触れている部分から直接暖かさが伝わってくるため、足元をダイレクトに暖めることができます。

部屋全体を暖めてくれる暖房方法

もし、ある特定の場所の足元だけ暖かくしたいのなら、お手軽な電気式の敷きマットを使うこともできます。

一方で床暖房は単に足元を暖めるだけではなく、その部屋全体も暖める役割を果たします。

床下から放出された熱は室内の人や壁や家具などに吸収され、そこからまた放射される輻射熱(ふくしゃねつ)となり、室内の空気全体を暖めます。

その暖かさは、エアコンのように風が直接当たることもなく、輻射熱によってじんわりと、体の芯からポカポカ暖めてくれるという特徴があります。

最近では新築住宅の多くで床暖房が導入される傾向があり、なじみのある暖房方法となっています。

しかし、床暖房がついていても「使ったことがない」という人もいるようです。

そこで、床暖房があるのに使わない人の「床暖房への疑問点」を見ていきましょう。

疑問1:床暖房の上にカーペットや ラグを敷いてもよいのか

小さなお子さんのいるご家庭の場合、階下への音を軽減するために床に厚手のカーペットを敷くことが多いようです。

そうすると、床暖房をつけても効果がないのでは?と思い、床暖房を使用しないケースとなるようです。

床暖房は、フローリングなどの床仕上げ材の下(もしくは床材の内部)に組み込まれた熱源から暖房を行い、足元からポカポカと暖まることが大きな特徴であり、魅力の一つです。

その上にカーペットやラグを敷くと暖かさが伝わりにくくなるため、敷かない方がよいでしょう。

スリッパなどもはかずに素足または靴下で過ごすと暖かさが実感できます。

しかし、音の問題などからどうしてもカーペットを敷きたいご家庭では、熱に強い床暖房対応のカーペットの中からなるべく薄手のものを選ぶか、面積が小さめのものを選ぶとよいでしょう。

疑問2:床暖房だとなかなか部屋が暖まらない

床暖房は輻射熱で部屋全体を暖める暖房方法のため、エアコンやストーブに比べると部屋が一定以上の室温になるまでの時間(=立上り)がゆっくりという印象があります。

これらのデメリットに対応するため、例えば温水式の床暖房の場合は立上り時には高い温水を流したり、床下のパイプ数を増やしたり、パイプ放熱ロスを少なくする工夫をしたりと床暖房のメーカーも開発を続けています。

床暖房には電気式や温水式があり、またメーカー別に特徴があるためよく比較検討していただきたいのですが、立上りが遅いという点では改善が進んでいるようです。

一方、床暖房の良さは、いったんスイッチを切ってもしばらく暖かさを保つことです。

朝はタイマーで早めにセットして起床時間までに暖めておき、夜は就寝時間の少し前にタイマーで切っておくという使い方がおススメです。

疑問3:床暖房だけでは寒い気がする

先ほども述べたように、床暖房は立上りに時間がかかる暖房方法です。

もし気になるようであれば、立上りの時にはエアコンを併用し、一定以上の室温になったら床暖房のみにしてもよいでしょう。

もしずっとつけていても床暖房だけでは暖かさが足りないと感じたときは、家全体の気密性や断熱性が低いことが原因かもしれません。

現在の住宅の多くは高断熱・高気密仕様になっているため問題はあまりないと思いますが、断熱性や気密性に劣る中古住宅にリフォームで取り付けるときには要注意です。

床下の断熱材もしっかり入っていないと床暖房の効きは悪くなります。

リフォームで床暖房を導入する時は、家全体の断熱性能も一緒に見直すことをおススメします。

疑問4:床暖房の光熱費は高くないの?

床暖房の光熱費については東京ガスのホームページにガス温水式床暖房の試算が載っています。

・ランニングコスト 1時間あたり立上り時(1時間当たり)約43円

定常時(1時間当たり)約11円

・ランニングコスト 1日あたり立上りから8時間運転した場合 約131円

1日8時間使っても、光熱費は1日当たり約131円(税込)です。

 

参考に最新型のエアコンのランニングコストと比較してみましょう。

・2020年度モデルM社 税込約124円

・2020年度モデルのP社 税込約122.3円

床暖房の電気代は高いというイメージがあるかもしれませんが、最新型エアコンと比べても1日当たりの電気代の差額は10円程度です。

上述の試算はガス温水式床暖房の一例ですが、電気式にするか、温水式にするか、どんな熱源機を組み合わせるかによっても変わってきます。

例えば、電気式の床暖房なら安い深夜電力を蓄熱して昼間に放出させて光熱費を抑える方法もあります。

ガス温水式の場合は、熱源をエコジョーズなどの高効率給湯器にすることで省エネ効果を高めることができます。

また、お湯をつくると同時に発電もする家庭用燃料電池「エネファーム」と床暖房は相性のよい組み合わせです。

エネファームを導入した家庭で温水式床暖房を採用し、お湯をたくさん使うとその分たくさん発電するため、電気代が安くなります。

光熱費全体として経済的なメリットも大きくなるでしょう。

現在、エネファームは戸建てにもマンションにも採用が進んでいます。

コストだけではなく暮らしに合った暖房を

現在のところ、暖房費だけに着目すれば、月々にかかる光熱費(ランニングコスト)では省エネ化が進むエアコンが一番優れていると言われています。

しかし、寒さが厳しく豊かな森林を持つ地域では薪ストーブやペレットストーブなどの暖房方法が注目されていますし、首都圏の新築分譲住宅では床暖房とエアコンを併用するところが多く見られます。

暖房の選択は、ランニングコストだけではなく、住まい手が感じる快適さや、住む地域によって必要な暖かさなど様々なものさしがあるはずです。

ご家族が快適に過ごせる方法を選んでいただきたいと思います。

それでは、また!!

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