2026.7.04 土
こんにちは。津店設計の藤林です。
今回は、家造りの一つの思想である「パッシブデザイン」の中でも、ちょっとマニアックで面白い工夫「逆勾配軒天」についてお話ししたいと思います。
「軒天」というのは、屋根の裏側、外壁から外に飛び出している部分の天井のこと。 ここをあえて「斜め(逆勾配)」にするのには、実はすごく合理的な理由があるんです!
そもそもパッシブデザインとは?
パッシブデザインというのは、エアコンなどの機械に頼り切るのではなく、太陽の光や熱、自然の風などを上手に建物に取り入れて、快適に暮らそうという設計の考え方です。
そのパッシブデザインにおいて、「軒」の役割は非常に重要であり、その機能をさらに研ぎ澄ませたのが「斜め軒天」なんです。
秘密は「30度の角度」
通常の軒天は地面と平行(水平)になっていますが、逆勾配軒天は、軒先から窓の上に向かって斜めに下がっていくような形状をしています。角度はおおよそ30度くらいに設定します。
「ただのデザイン?」と思うかもしれませんが、実はこれ、「冬至の太陽の南中高度」をめちゃくちゃ考慮して設計されているんです。


なぜ冬至の太陽を気にするの?
パッシブデザインの基本は、「夏の暑い日差しは遮り、冬の暖かい日差しは部屋の奥まで取り込む」こと。太陽の高さ(南中高度)は季節によって変わりますよね。
- 夏:太陽が高い位置にある
- 冬:太陽が低い位置にある(一番低いのが冬至!)
もし軒が深すぎたり、水平のまま分厚くなっていたりすると、冬の低い太陽の光まで軒が邪魔してしまい、部屋の中に入ってこなくなってしまいます。
そこで、軒先から窓上に向かって約30度の角度で斜めにカットするように軒天を設けるとどうなるか?
なんと、夏の高い位置からの直射日光はしっかり遮りつつ、冬の低い位置からの暖かい日差しは、遮られることなく部屋の奥までたっぷり届くようになるんです。まさに太陽の動きを計算し尽くした、自然のストーブですね。
デザイン性も抜群!
機能性が高いだけでなく、斜め軒天には「デザイン性が高い」というメリットもあります。
外から見たときに屋根の厚みを感じさせず、シャープでスタイリッシュな印象を与えてくれるんです。木の板張りなんかにすると、下から見上げた時の美しさは格別となります。
まとめ
「逆勾配軒天」は、ただデザイン性を高めるだけではなく、自然の力を最大限に生かして快適に暮らすためのパッシブデザインの賜物です。
これから家づくりを考える方は、ぜひ「太陽の動き」と「軒の形」の関係にも注目してみてくださいね!

設計部長
藤林 信之
NOBUYUKI FUJIBAYASHI





